尾崎放哉の全句集が面白い
何年か前に文庫で買ってから、何度か読み返しているのだけど、尾崎放哉の人生の浮き沈みがよく伝わってきて非常に趣深い。
尾崎放哉は「咳をしても一人」で有名な自由律の俳人。自由律で何でもありなので、俳句がハードル高く見える人でも親しみやすい気がする。
昔Twitterがあったらきっとこんな投稿がされていたのだろう、と句を読んだときの情景が鮮明に伝わってくる。
以下は遁世以後の作品。遁世以後の隠居感が味わい深い。流浪の果て、孤独と貧窮のうちに小豆島で病死していく放哉の様子が何となくわかる気がする
ねそべつて書いて居る手紙を鶏に覗かれる
一日物云はず蝶の影さす
いつしかついて来た犬と浜辺に居る
咳をしても一人
そして以下が俗世の時代の作品。色づいているというか、なんというか遁世以後との対比が凄まじくて、諸行無常を感じる。あと初期は定型句だったのも意外。
鶴を折る間に眠る児や宵の春
一心に物書く男に昼の蚊が鳴けり
よく笑ふ女と日まはりのあかるさ
夜店人通り犬が人をさがし居る