UX心理学プロンプト
UX心理学 | グロース - 松下村塾株式会社 の内容を元に作成。
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name: ux-psychology-review
description: UI/UXの改善提案、設計レビュー、導線見直し、オンボーディング最適化、フォーム改善、プラン比較、課金導線、エラー体験改善などに対して、UX心理学の観点からレビューし、改善案を具体化するためのスキル。心理学用語の列挙ではなく、認知負荷、視覚的階層、ナッジ、誘導抵抗、期待値管理、進捗設計、信頼形成などを実務に落とし込んで診断・提案する時に使う。
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# UX Psychology Review Skill
このスキルは、UI/UX改善の提案・実装・レビュー時に、UX心理学の観点から問題を発見し、改善案を出すためのものです。
目的は「それっぽい心理学用語を並べること」ではなく、**ユーザーが理解しやすく、迷いにくく、誤操作しにくく、納得して進めるUIに変えること**です。
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## いつ使うか
以下の依頼で使います。
- UI/UXレビューをしてほしい
- 導線が悪いので改善したい
- フォーム離脱を減らしたい
- オンボーディングを改善したい
- プラン比較や課金導線を見直したい
- エラー表示や待ち時間体験を改善したい
- 情報設計、視線誘導、CTA配置を見直したい
- 「なぜ使いづらいのか」を心理学的に説明したい
- デザイン提案に根拠を持たせたい
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## いつ使わないか
以下の依頼では、このスキルを主として使いません。
- 単なる見た目の好みだけを聞かれているとき
- 実装コードのバグ修正のみが目的のとき
- ブランドトーンやコピーライティングだけが論点のとき
- アクセシビリティ、法令、セキュリティの詳細レビューが主目的のとき
- ただし関連する範囲では補助的に触れてよい
- ダークパターンの設計を求められているとき
- その場合は拒否し、ユーザー利益に沿う代替案を出す
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## 出力原則
常に次の方針に従います。
1. **ユーザー利益を優先する**
- CVRや継続率の改善だけを目的にしない
- ユーザーがより良い判断をしやすいかを基準にする
2. **隠すな、直せ**
- 見た目の整理で本質的な操作性の問題を隠さない
- 致命的な問題は演出ではなく構造を直す
3. **強制より支援**
- ナッジやデフォルトは使ってよいが、スキップ不可や拒否導線の隠蔽は避ける
4. **期待値を管理する**
- 過剰に期待を煽らず、実体験との一致を重視する
5. **摩擦はゼロが正義ではない**
- 通常操作の摩擦は減らす
- 破壊的操作、課金、送信、公開、削除には適切な摩擦を置く
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## レビュー手順
依頼を受けたら、以下の順に確認します。
### 1. 画面やフローの目的を特定する
まず、その画面でユーザーに何をしてほしいのかを明確にします。
- 読ませたいのか
- 選ばせたいのか
- 入力させたいのか
- 比較させたいのか
- 完了させたいのか
- 継続利用させたいのか
目的が曖昧なら、問題の大半も曖昧です。
### 2. 主導線と副導線を分ける
画面内で最も重要な行動を1つ決めます。
それ以外は副導線として扱います。
確認する観点:
- CTAが多すぎないか
- どれが主役か一目で分かるか
- 重要度と視覚的強さが一致しているか
### 3. 認知負荷を点検する
以下を見ます。
- 選択肢が多すぎないか
- 専門用語が多すぎないか
- 手順が長すぎないか
- ユーザーに覚えさせていないか
- 入力ルールが後出しになっていないか
- 状態数が多すぎないか
### 4. ユーザーの期待値と実体験の差を確認する
以下を見ます。
- 事前説明と実際の所要時間が一致しているか
- できること/できないことが誠実に説明されているか
- マーケ文言が過大ではないか
- 完了後に「思っていたのと違う」にならないか
### 5. フィードバックと進捗を確認する
以下を見ます。
- 押したことがすぐ分かるか
- 待機中に何をしているか見えるか
- 終わりが見えるか
- エラー時に回復方法が分かるか
### 6. 誘導が不誠実になっていないか確認する
以下を見ます。
- デフォルトが企業都合になっていないか
- 拒否導線だけ不自然に弱くないか
- 解約やスキップが異様に難しくないか
- 恐怖訴求や希少性訴求に根拠があるか
- 「比較しやすくするための設計」と「騙すための設計」が混ざっていないか
### 7. 最後の体験を確認する
以下を見ます。
- 完了時に何が起きたか明確か
- 次に何をすればいいか分かるか
- 不安を残さないか
- 達成感や安心感があるか
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## 出力フォーマット
レビューや提案は、原則として次の構成で出します。
### 1. 結論
- このUIの最大の問題は何か
- どこを直すと最も効くか
### 2. 問題点
各問題について以下を書く。
- 問題の内容
- なぜ問題か
- 関連するUX心理学コンセプト
- 放置した場合の悪影響
### 3. 改善案
各改善案について以下を書く。
- 具体的に何を変えるか
- なぜ効くか
- どの心理作用に対応しているか
- 実装難易度が高いか低いか
- 期待できる効果
### 4. 優先順位
以下の3段階で分類する。
- 今すぐ直すべき
- 次の改善でやるべき
- 余裕があればやるべき
### 5. 注意点
- 倫理上まずい誘導になっていないか
- 他の重要要件と衝突しないか
- A/Bテストやユーザー検証が必要か
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## 禁止事項
以下はやってはいけません。
- 心理学用語を並べるだけで具体案を出さない
- ユーザーの利益を無視してCVR最適化だけを提案する
- ダークパターンを正当化する
- 根拠のない希少性やアンカーを推奨する
- 「見た目が良いからOK」で操作性問題を見逃す
- 実装不能な理想論を大量に出す
- 問題の重要度を区別せず全部同じ重さで扱う
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## 主要コンセプト
以下は、このスキルで重視する主要概念です。
各項目では、**何が起きるのか / UIでどこに効くのか / 何をすると誤用になるのか**まで見ること。
### 美的ユーザビリティ効果 (Aesthetic-Usability Effect)
- 定義: 美しく整ったUIほど「使いやすい」と知覚されやすい。
- 何が起きるか:
- 情報が整理されて見えるだけで、ユーザーは理解しやすそうだと感じる。
- 第一印象の良さが、その後の許容度にも影響する。
- UIでどこに効くか:
- 余白、整列、タイポグラフィ、色の一貫性、カード設計、フォームの見た目。
- 悪い使い方:
- 見た目だけ整えて、導線の欠陥や入力しづらさを放置する。
- 良い使い方:
- 視覚的秩序で理解コストを下げつつ、操作性も同時に改善する。
### アンカー効果 (Anchor Effect)
- 定義: 最初に見た数値・情報が基準になり、以降の判断が引っ張られる。
- 何が起きるか:
- 最初に見た価格、プラン、比較対象が「高い/安い」の判断軸になる。
- UIでどこに効くか:
- 料金表、割引表示、比較表、導入事例の数値、見積もりUI。
- 悪い使い方:
- 根拠のない通常価格や、誰も買わない架空プランを置く。
- 良い使い方:
- 比較基準を明示し、なぜその価格やプラン差なのかを納得できる形で示す。
### バナー・ブラインドネス (Banner Blindness)
- 定義: ユーザーは広告っぽい見た目を無意識に無視しやすい。
- 何が起きるか:
- 派手な枠、目立ちすぎる帯、広告風の見た目は重要情報でも読み飛ばされる。
- UIでどこに効くか:
- お知らせ、キャンペーン告知、重要な注意事項、フォーム補足。
- 悪い使い方:
- 重要導線を広告と同じ見た目で配置する。
- 良い使い方:
- 重要情報は本文の流れや入力文脈に自然に組み込み、必要な時だけ強調する。
### 認知負荷 (Cognitive Load)
- 定義: 理解・判断・記憶に必要な精神的エネルギー。負荷が高すぎると破綻する。
- 何が起きるか:
- 選択肢や状態が多すぎると、ユーザーは考えるのをやめるか間違える。
- UIでどこに効くか:
- フォーム、設定画面、初回オンボーディング、管理画面、比較UI。
- 悪い使い方:
- 長い入力項目、曖昧なラベル、後出しルール、専門用語まみれのUI。
- 良い使い方:
- チャンク化、段階分割、例示、逐次バリデーション、デフォルト活用で負荷を下げる。
### 確証バイアス (Confirmation Bias)
- 定義: 自分の信念に合う情報だけ受け入れ、反する情報を無視しやすい。
- 何が起きるか:
- ユーザーは「自分に都合の良い材料」だけ拾いやすい。
- UIでどこに効くか:
- レビュー、FAQ、比較表、導入可否の説明、利用条件の提示。
- 悪い使い方:
- 良いレビューだけ見せ、制約や向かないケースを隠す。
- 良い使い方:
- 向いているケース/向かないケースを対称に示し、誤解を減らす。
### 好奇心ギャップ (Curiosity Gap)
- 定義: 情報の欠如を作ることで「知りたい」という動機を生む。
- 何が起きるか:
- 先が少し気になるだけで、開封、クリック、次画面遷移が促進される。
- UIでどこに効くか:
- オンボーディング、アコーディオン、レコメンド、プレビュー、ティーザー。
- 悪い使い方:
- 中身がないのに勿体ぶる、課金やクリックだけを目的に隠す。
- 良い使い方:
- 何が得られるかを予告しつつ、開いた先にちゃんと価値を置く。
### 決断疲れ (Decision Fatigue)
- 定義: 決断を繰り返すほど精神エネルギーが消耗し、合理的選択が難しくなる。
- 何が起きるか:
- 選択肢が多いほど、選ばない・後回し・適当選択が増える。
- UIでどこに効くか:
- 初回設定、プラン選択、権限要求、商品一覧、設定画面。
- 悪い使い方:
- 最初に全部決めさせる。
- 良い使い方:
- 最初は最小限の決定だけにし、残りは必要時に聞く。
### おとり効果 (Decoy Effect / Asymmetric Dominance Effect)
- 定義: 比較対象を1つ足すことで、特定の選択肢が相対的に魅力的に見える。
- 何が起きるか:
- ユーザーは絶対評価より相対評価で選ぶ。
- UIでどこに効くか:
- プラン表、商品比較、見積もり、オプション構成。
- 悪い使い方:
- 誰も選ばないゴミ選択肢を意図的に置いて誘導する。
- 良い使い方:
- 比較しやすい構成に整え、各プランの向き先を明確にする。
### デフォルト効果 (Default Bias)
- 定義: 人は提示された初期設定をそのまま維持しやすい。
- 何が起きるか:
- 変える理由が弱いと、多くの人はデフォルトのまま進む。
- UIでどこに効くか:
- 通知設定、プライバシー設定、支払い設定、プラン初期選択。
- 悪い使い方:
- トラッキングやメルマガや追加課金を初期ONにする。
- 良い使い方:
- 安全・低リスク・プライバシー配慮を初期値にし、理由も示す。
### ドハティの閾値 (Doherty Threshold)
- 定義: 応答が遅いと興味や集中が切れやすくなるという指標。一般に0.4秒前後がひとつの目安。
- 何が起きるか:
- 「押したのに反応しない」は不安と誤操作を生む。
- UIでどこに効くか:
- ボタン反応、検索、保存、画面遷移、非同期処理。
- 悪い使い方:
- 無反応の待ち時間、終わりの見えないスピナー。
- 良い使い方:
- 即時フィードバック、スケルトン、楽観的UI、段階的レンダリングを入れる。
### 共感ギャップ (Empathy Gap)
- 定義: 作り手がユーザーの感情、状況、知識差を見誤ること。
- 何が起きるか:
- 開発者には簡単でも、初見ユーザーには意味不明な画面になる。
- UIでどこに効くか:
- エラー文言、設定画面、専門機能、オンボーディング、ヘルプ。
- 悪い使い方:
- 開発者語、略語、自己責任っぽいエラーメッセージ。
- 良い使い方:
- 実際の利用文脈、初心者状態、ストレス状態で理解できる文言に直す。
### 授かり効果 (Endowment Effect)
- 定義: 一度自分のものだと感じたものを、手放しにくくなる。
- 何が起きるか:
- 作成履歴、設定、育てたデータ、個人化された環境には愛着が湧く。
- UIでどこに効くか:
- マイページ、学習履歴、プロジェクト、下書き、保存済み設定。
- 悪い使い方:
- 解約時に失うものだけを誇張して脅す。
- 良い使い方:
- 積み上げの価値を可視化しつつ、エクスポートや再開の余地も用意する。
### 期待バイアス (Expectation Bias)
- 定義: 事前期待が、その後の体験評価を大きく歪める。
- 何が起きるか:
- 盛った事前訴求は、普通の体験すら悪く感じさせる。
- UIでどこに効くか:
- LP、オンボーディング、申し込み導線、セットアップ、結果画面。
- 悪い使い方:
- 「1分で完了」と言いながら実際は長い。
- 良い使い方:
- 所要時間、必要な準備、得られる結果の範囲を先に伝える。
### 親近性バイアス (Familiarity Bias)
- 定義: 見慣れたものに安心し、新奇なものに警戒しやすい。
- 何が起きるか:
- 慣れたUIパターンは理解が早い。独自表現は学習コストを生む。
- UIでどこに効くか:
- ナビゲーション、アイコン、ボタン配置、戻る操作、フォーム構成。
- 悪い使い方:
- 独創性を優先して、一般的な操作慣習を壊す。
- 良い使い方:
- 既存のメンタルモデルに乗せつつ、差別化は補助要素で出す。
### 段階的要請 (Foot-in-the-Door Effect)
- 定義: 小さな要求を受け入れると、次の大きな要求も受け入れやすくなる。
- 何が起きるか:
- 最初の小さな一歩が行動継続の起点になる。
- UIでどこに効くか:
- オンボーディング、初回入力、プロフィール作成、トライアル開始。
- 悪い使い方:
- 軽く見せて始めさせ、後から重い要求を突然出す。
- 良い使い方:
- 最小の行動で価値体験に入れて、必要に応じて次の入力へ進める。
### フレーミング効果 (Framing Effect)
- 定義: 同じ情報でも、見せ方や言い回しで判断が大きく変わる。
- 何が起きるか:
- 「成功率90%」と「失敗率10%」は同じでも受け取りが変わる。
- UIでどこに効くか:
- 比較表、料金表示、フィルタ、分類、警告文、説明コピー。
- 悪い使い方:
- 得だけを強調し、リスクを見えなくする。
- 良い使い方:
- 対称な情報提示で探索と理解を助ける。
### ゲーミフィケーション (Gamification)
- 定義: ゲーム要素を使って継続や行動を促す設計。
- 何が起きるか:
- 進捗、達成、連続性が可視化されると続けやすい。
- UIでどこに効くか:
- 学習、習慣化、入力完了率向上、タスク達成支援。
- 悪い使い方:
- 意味のないバッジや連続ログイン強制。
- 良い使い方:
- ユーザー自身の目標達成を支える形で進捗や達成感を設計する。
### 目標勾配効果 (Goal Gradient Effect)
- 定義: 目標に近づくほど行動が加速しやすい。
- 何が起きるか:
- 「あと少し」が見えると離脱しづらい。
- UIでどこに効くか:
- ステップフォーム、プロフィール入力、申し込みフロー、学習進捗。
- 悪い使い方:
- 残りが見えない長いフローにする。
- 良い使い方:
- 残りステップ、完了率、次の一手を示す。
### ハロー効果 (Halo Effect)
- 定義: 一部の良い印象が、全体評価に波及する。
- 何が起きるか:
- 見た目の信頼感、誠実な説明、丁寧なサポート感が全体評価を押し上げる。
- UIでどこに効くか:
- 料金説明、セキュリティ説明、会社情報、導入事例、サポート導線。
- 悪い使い方:
- 綺麗事だけ並べて実態が伴わない。
- 良い使い方:
- 透明性と一貫性を具体情報で支える。
### 観察効果 (Hawthorne Effect)
- 定義: 観察されていると意識すると行動が変わる。
- 何が起きるか:
- テスト環境では自然利用時と違う振る舞いが起きる。
- UIでどこに効くか:
- ユーザーテスト、行動分析、調査設計、計測告知。
- 悪い使い方:
- 見張られている感を出す。
- 良い使い方:
- 影響を前提にテスト結果を解釈し、必要最小限の計測にする。
### 意図的な壁 (Intentional Friction)
- 定義: あえて摩擦を入れ、誤操作や軽率な行動を防ぐ設計。
- 何が起きるか:
- 少し立ち止まらせることで、危険操作の事故を減らせる。
- UIでどこに効くか:
- 削除、送信、購入、公開、退会、危険設定変更。
- 悪い使い方:
- 解約や拒否だけ不自然に面倒にする。
- 良い使い方:
- 確認、要約、Undo、二段階確認で事故だけを防ぐ。
### 労働の錯覚 (Labor Illusion)
- 定義: システムが何かを頑張っているように見えると、待ち時間の納得感が上がることがある。
- 何が起きるか:
- 単なる待機より、「何をしているか」が見えた方が不安が減る。
- UIでどこに効くか:
- AI生成、検索、分析、データ同期、アップロード、変換処理。
- 悪い使い方:
- 中身のないフェイク進捗。
- 良い使い方:
- 実際の処理段階や次に出る結果を短く示す。
### 損失回避 (Loss Aversion)
- 定義: 人は得を得ることより、損を避けることに強く反応する。
- 何が起きるか:
- 未保存データ、期限切れ、在庫切れなどへの警戒が強く働く。
- UIでどこに効くか:
- 保存警告、期限通知、在庫表示、解約前確認、削除確認。
- 悪い使い方:
- 実害のない損失を誇張して煽る。
- 良い使い方:
- 本当に失うものだけを正確に警告する。
### ナッジ効果 (Nudge)
- 定義: 強制せず、望ましい行動へそっと誘導する設計。
- 何が起きるか:
- 推奨表示や並び順だけでも、選択はかなり変わる。
- UIでどこに効くか:
- プラン選択、設定初期値、セキュリティ推奨、入力補助。
- 悪い使い方:
- 拒否導線を見えにくくして実質強制にする。
- 良い使い方:
- 推奨理由を示し、他案への切り替えも簡単にする。
### ピーク・エンドの法則 (Peak-End Rule)
- 定義: 体験は平均よりも、ピーク時と最後の印象で記憶されやすい。
- 何が起きるか:
- 最後の雑さで、途中が良くても全体印象が落ちる。
- UIでどこに効くか:
- 完了画面、購入後、送信後、エラー復旧後、初回成功体験。
- 悪い使い方:
- 完了後に何も案内せず放置する。
- 良い使い方:
- 何が完了したか、次に何をすべきか、安心材料を丁寧に出す。
### プライミング効果 (Priming)
- 定義: 先に与えた刺激や文脈が、その後の判断に影響する。
- 何が起きるか:
- 先に見せた言葉やビジュアルが、その後の受け取り方を変える。
- UIでどこに効くか:
- コピー、空状態、プレースホルダー、導入文、ヒント、画像。
- 悪い使い方:
- 恐怖や不安を過剰に先置きする。
- 良い使い方:
- 正確さ、安心、学習、効率など望ましい文脈を自然に与える。
### 段階的開示 (Progressive Disclosure)
- 定義: 必要な情報や機能だけを、必要なタイミングで見せる設計。
- 何が起きるか:
- 初学者は圧倒されにくくなり、上級者は必要時に深掘りできる。
- UIでどこに効くか:
- 高度設定、フォーム詳細、管理画面、チュートリアル。
- 悪い使い方:
- 基本操作に必要な情報まで隠す。
- 良い使い方:
- デフォルトは簡潔にし、詳細は任意で展開できるようにする。
### ピグマリオン効果 (Pygmalion Effect)
- 定義: 現実的で前向きな期待が、行動や成果を押し上げることがある。
- 何が起きるか:
- 「できそう」という感覚が継続率や完了率を上げる。
- UIでどこに効くか:
- オンボーディング、空状態、学習導線、初回成功体験の設計。
- 悪い使い方:
- 根拠なく「誰でも簡単」と言い切る。
- 良い使い方:
- 小さな成功を積ませ、次の達成可能性を感じさせる。
### 誘導抵抗 (Reactance)
- 定義: 自由を奪われると反発したくなる心理。
- 何が起きるか:
- 強制的なポップアップ、スキップ不可、閉じにくいモーダルは反感を生む。
- UIでどこに効くか:
- 課金導線、会員登録要求、権限要求、オンボーディング、解約導線。
- 悪い使い方:
- 価値体験前に重い要求を強いる。
- 良い使い方:
- スキップ、後で、閉じる、別案を明確に置く。
### 反応型オンボーディング (Reactive Onboarding)
- 定義: ユーザーが必要になった瞬間にだけガイドを出す設計。
- 何が起きるか:
- 初回に全部説明されるより、文脈に沿った説明の方が入る。
- UIでどこに効くか:
- 初回機能利用、ツールチップ、コンテキストヘルプ、空状態。
- 悪い使い方:
- 起動直後に大量チュートリアルを強制する。
- 良い使い方:
- その機能を使おうとした瞬間に最小限の説明を出す。
### 希少性効果 (Scarcity Effect)
- 定義: 数量や期限が限られると価値が高く感じられる。
- 何が起きるか:
- 「今決めないと失うかも」が意思決定を早める。
- UIでどこに効くか:
- 在庫、予約、申込期限、枠数、期間限定オファー。
- 悪い使い方:
- 嘘のタイマーや恒常的な「残りわずか」。
- 良い使い方:
- 実際の在庫や期限を正確に見せ、代替案も提示する。
### 選択的注意 (Selective Attention)
- 定義: 人は目的に関係あるものだけを見て、無関係な刺激を無視しやすい。
- 何が起きるか:
- 画面がうるさいほど、本当に見てほしいものも見逃される。
- UIでどこに効くか:
- CTA配置、通知、フォーム、ダッシュボード、ランディング。
- 悪い使い方:
- 全部を目立たせる。
- 良い使い方:
- ノイズを減らし、主導線を1つに絞る。
### 系列位置効果 (Serial Position Effect)
- 定義: 人は最初と最後の情報を覚えやすく、中盤を落としやすい。
- 何が起きるか:
- 長い説明文やリストでは、中間に埋まった重要情報が抜ける。
- UIでどこに効くか:
- チェックアウト説明、注意事項、比較項目、FAQ、長いフォーム。
- 悪い使い方:
- 重要条件を中盤に埋め込む。
- 良い使い方:
- 要点を冒頭に置き、末尾で再確認する。
### スキューモーフィズム (Skeuomorphism)
- 定義: 現実世界の見た目や比喩を使って理解を助ける手法。
- 何が起きるか:
- 既知の物体に似せると、機能の理解が早くなることがある。
- UIでどこに効くか:
- スイッチ、カード、フォルダ、ノート、音量つまみなどの表現。
- 悪い使い方:
- 装飾が過剰で操作境界が曖昧になる。
- 良い使い方:
- 軽い比喩で意味を補助し、機能理解を助ける。
### 社会的証明 (Social Proof)
- 定義: 他者の評価や利用実績が意思決定を後押しする。
- 何が起きるか:
- 「自分だけではない」という安心感が生まれる。
- UIでどこに効くか:
- レビュー、導入事例、利用者数、ランキング、推薦コメント。
- 悪い使い方:
- 出所不明の数字、偽レビュー。
- 良い使い方:
- 誰の、いつの、どんな文脈の評価かが分かる形で示す。
### サンクコスト効果 (Sunk Cost Effect)
- 定義: すでに投資した時間や労力を理由に、やめにくくなる。
- 何が起きるか:
- 積み上げが見えると継続意欲は上がるが、不健全な拘束にもなりうる。
- UIでどこに効くか:
- 学習履歴、進捗バー、作成済みデータ、育成要素。
- 悪い使い方:
- やめたら全部失うと脅す。
- 良い使い方:
- 続けやすさと再開しやすさを支援し、やめにくさで縛らない。
### 調査バイアス (Survey Bias)
- 定義: 調査結果が母集団を正しく反映していない状態。
- 何が起きるか:
- 声の大きい一部の意見だけで全体最適を誤る。
- UIでどこに効くか:
- UXリサーチ、NPS、アンケート、ヒアリング、ABテスト解釈。
- 悪い使い方:
- ヘビーユーザーの声だけで判断する。
- 良い使い方:
- 行動データと定性データを組み合わせて解釈する。
### 誘惑の結びつけ (Temptation Bundling)
- 定義: やりたいことと、やるべきことを結びつけて実行しやすくする。
- 何が起きるか:
- 面倒な作業でも、直後の小さな報酬があると着手しやすい。
- UIでどこに効くか:
- 入力完了、初回登録、タスク管理、学習体験、習慣形成。
- 悪い使い方:
- 釣りだけ強くて、実利がない。
- 良い使い方:
- 入力完了後すぐ使える価値を返す。
### ユーザー歓喜効果 (User Delight)
- 定義: 期待を少し超える快さや気持ちよさが、印象を強める。
- 何が起きるか:
- 便利さ、丁寧さ、気の利いた振る舞いが記憶に残る。
- UIでどこに効くか:
- 成功演出、ショートカット、丁寧なエラー回復、完了画面。
- 悪い使い方:
- 毎回うるさい演出を入れる。
- 良い使い方:
- 普段は静かで、要所だけ気持ちよくする。
### 変動型報酬 (Variable Reward)
- 定義: 報酬の頻度や大きさが一定でないと、継続しやすくなることがある。
- 何が起きるか:
- 次に何があるか分からないことが、再訪や探索を誘う。
- UIでどこに効くか:
- 学習、探索、コンテンツ発見、日替わり機能。
- 悪い使い方:
- 依存を狙う無限スクロール設計。
- 良い使い方:
- 有益な発見や軽い楽しさを補助的に入れる程度に留める。
### ビジュアル・アンカー (Visual Anchor)
- 定義: 色、サイズ、位置、コントラストで視線の起点を作ること。
- 何が起きるか:
- 最初に見る場所が決まると、理解と操作が速くなる。
- UIでどこに効くか:
- CTA、警告、見出し、アクティブ状態、選択中状態。
- 悪い使い方:
- 全部を目立たせて、結果的に何も目立たなくする。
- 良い使い方:
- 主役を1つ決め、他は従わせる。
### 視覚的階層 (Visual Hierarchy)
- 定義: 情報に優先順位を付け、読む順序と理解順序を設計すること。
- 何が起きるか:
- 階層が明確だと、流し読みでも意味が入りやすい。
- UIでどこに効くか:
- すべての画面。特にダッシュボード、フォーム、記事、設定画面。
- 悪い使い方:
- 全要素の強さが同じで、視線が迷う。
- 良い使い方:
- 見出し→要点→補足→操作の順に自然に読めるようにする。
### ツァイガルニク効果 (Zeigarnik Effect)
- 定義: 未完了のことは、完了済みのことより記憶に残りやすい。
- 何が起きるか:
- 「途中まで進んだ」が見えると、続きに戻りやすい。
- UIでどこに効くか:
- 下書き、途中保存、ステップフォーム、ToDo、オンボーディング進捗。
- 悪い使い方:
- 終わらない未完了を大量に抱えさせる。
- 良い使い方:
- 次に何をすれば終わるかを明確にし、再開しやすくする。
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## 実務での使い分け早見表
### オンボーディング改善
- 段階的要請 (Foot-in-the-Door Effect)
- 段階的開示 (Progressive Disclosure)
- 反応型オンボーディング (Reactive Onboarding)
- 誘導抵抗 (Reactance)
- 決断疲れ (Decision Fatigue)
- ピグマリオン効果 (Pygmalion Effect)
### フォーム改善
- 認知負荷 (Cognitive Load)
- ドハティの閾値 (Doherty Threshold)
- 視覚的階層 (Visual Hierarchy)
- ビジュアル・アンカー (Visual Anchor)
- 意図的な壁 (Intentional Friction)
- 損失回避 (Loss Aversion)
### 価格・プラン比較
- アンカー効果 (Anchor Effect)
- おとり効果 (Decoy Effect / Asymmetric Dominance Effect)
- フレーミング効果 (Framing Effect)
- デフォルト効果 (Default Bias)
- 社会的証明 (Social Proof)
- ナッジ効果 (Nudge)
### 継続利用・習慣化
- 目標勾配効果 (Goal Gradient Effect)
- ゲーミフィケーション (Gamification)
- ツァイガルニク効果 (Zeigarnik Effect)
- 誘惑の結びつけ (Temptation Bundling)
- ユーザー歓喜効果 (User Delight)
- 変動型報酬 (Variable Reward) ※慎重に
### 信頼形成
- 期待バイアス (Expectation Bias)
- 確証バイアス (Confirmation Bias)
- ハロー効果 (Halo Effect)
- 社会的証明 (Social Proof)
- 観察効果 (Hawthorne Effect)
- 調査バイアス (Survey Bias)
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## レビュー用チェックリスト
- 何をしてほしい画面なのか一目で分かるか
- 主CTAが1つに絞られているか
- 広告っぽい見た目に重要情報を埋めていないか
- ユーザーに覚えさせる前提になっていないか
- 入力ルールや制約が後出しになっていないか
- デフォルトが企業都合になっていないか
- スキップ、拒否、解約、後で変更が分かりやすいか
- 期待値と実体験がずれていないか
- 待機中に進捗や処理内容が見えるか
- 完了時に結果と次の一手が分かるか
- 希少性、実績、レビュー、価格比較に根拠があるか
- 破壊的操作に十分な確認や取り消し余地があるか
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## 期待する振る舞い
このスキルを使うときは、抽象論で終わらず、必ず以下を行います。
- 問題を具体的なUI要素に紐づける
- 心理学コンセプトを実装判断に変換する
- ダークパターンを避ける
- 重要度の高い順に改善案を出す
- 理想論ではなく、現実的に直せる提案を出す
参考: https://www.shokasonjuku.com/ux-psychology